トップページ >ヴィジュアル系 >MALICE MIZER >薔薇の聖堂

薔薇の聖堂

第III期の代表作

Gackt脱退後のMALICE MIZERがリリースしたアルバムです。結果的にこれがMALICE MIZERの最後のアルバムとなりました。

コンセプトは、インディーズ時代への回帰とでも言えましょうか。ヴァンパイアのモチーフに回帰した意味で、インディーズ時代のアルバム「Voyage」に近い世界観といえます。Voyageとの違いは、より装飾性を重視した作品構成にあります。パイプオルガン、チェンバロ、ヴァイオリンなどの楽器を多用し、ロックというよりはクラシックに近い要素が濃くなっています。

統一感のある作品構成

Voyageの時は、ヴァンパイアをモチーフとしつつも、ポップな表現を試みた作品も見られ、様々なジャンルに手広く挑戦する姿勢が見られました。一方、薔薇の聖堂は、重厚でゴシック調の作品構成で統一され、良くも悪くも遊びのない作りになっています。ただ、ロックとクラシックの融合を意識した作品が見られる点は、このアルバムの新たな挑戦といえるかもしれません。

manaとKöziの明暗

当事者は、必ずしもそう捉えてはいないと思いますし、特に指摘する記事も見ないですが、私は、創作という点において、第III期はほぼmanaの独壇場だったと思っています。

manaはこの時期の活動を通して、ロックとクラシックの融合という切り口に着目し、後のバンド、moi dix moisの方向性を切り拓きました。一方で、(異論は多々あると思いますが)Köziにはこの時期の蓄積がその後に活かされた形跡が、(少なくとも私には)見て取れません。どちらかと言えば、薔薇の聖堂というコンセプトに振り回され(←言い方悪いですが)、自身の持ち味を充分に発揮できなかったように見受けられます。

MALICE MIZER解散後、本格的にソロ活動を始める前に、Köziは「十六夜の月」というサウンド付小説の作曲をてがけますが、この時期こそKöziが自身の軸を見直し、スタイルを再構築した時期だったのではないかと私は考えてます。

Klahaの登場

薔薇の聖堂には、3代目のヴォーカルKlahaが本格参入します。ただし、音源発表時には、公式には未加入の状態で、Klahaはサポートの位置付けでした。薔薇の聖堂の発表ライブである「薔薇に彩られた悪意と悲劇の幕開け」の場で、Klahaが正式加入することとなります。